本を高く積め

本をつい買ってしまう人の雑記です。

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

痛快娯楽なだけじゃない——エルモア・レナード『オンブレ』(村上春樹訳)

村上春樹のレナード愛 エルモア・レナードの「オンブレ」はメキシコにほど近いアメリカ南西部を舞台にしたウェスタン小説。語り手であり手記の書き手である《私》ことカール・アレンは、「男〔オンブレ〕」という異名をもつ謎めいた人物ジョン・ラッセルと同…

柴崎友香『千の扉』~語り手の個性がじわり

柴崎友香『千の扉』を読んだ。 義父が団地の部屋を空けることになり、夫の一俊とともにその部屋に越してきた千歳は、義父である勝男から、団地に住んでいるはずの古い知人を探すよう頼まれる。喫茶店でのアルバイト、突然に結婚を申し込んできた夫との関係、…